リモート文化はアイドルの無観客ライブにまで波及しています。

東京への一極集中が進んでいる、なんていう話はもう長らく言われ続けていることですね。
行政などの機能、資本など集中するものはいろいろありますが、やはり一番は人口の集中でしょう。

どれくらい人口の集中が進んでいるか、ということを示すために政府の統計を調べようとしたのですが、wikipediaに「東京一極集中」というページがありました。こんなページが存在しているところを見ても、いかに様々な分野で一極集中が進んでいるかがわかりますね。以下引用です。

2005年(平成17年)から5年間で、人口が増加した都道府県は順に、東京都(+585,140)、神奈川県(+257,913)、千葉県(+160,657)、愛知県(+153,795)、埼玉県(+140,575)、大阪府(+45,730)、沖縄県(+30,909)、滋賀県(+29,911)、福岡県(+22,896)のみとなっている。南関東1都3県の人口増加数は1,144,285人となっており、首都圏にはわずか5年で広島市に匹敵する大都市が誕生したことになる。

「5年間で首都圏に広島ができちゃった。笑」
ということのようです。笑 もはや笑うしかありませんが、これ笑い事じゃないんですよ。
ではその広島はどうでしょうか。

361398

広島県ホームページからの引用です。
こちらは「20年間で広島県から三原市(人口約9万人)が消えちゃった。笑」という感じです。

広島市も中四国地方の中心都市であって、様々な機能を担う大都市ですがそれでも県レベルで見れば人口は減少の一途をたどっているわけです。それだけに首都圏という農耕を行う土地も含む非常に広い範囲で見ても人口が増え続けている状態がいかに異常であるかがわかります。

アイドルの興行が成功したといえるかどうかの判断基準は様々ですが、結局はキャパシティ一杯に人が集まるか否かという点が一番大きいのではないかと思います。そうなると首都圏が単純に人が多いですから、アイドルが地方都市に巡業するメリットはほとんどない
んですよね…

乃木坂46は毎年夏に「真夏の全国ツアー」というものを行っています。
それっぽい名前を付けていますが、要するに夏の地方巡業です。過去のこのツアーで周った都市を確認してみましょう。それぞれ開催順です。

2013年
札幌、福岡、大阪、名古屋、東京
2014年
大阪、福岡、仙台、名古屋、東京
2015年
宮城、名古屋、広島、福岡、大阪、東京
2016年
静岡、大阪、名古屋、宮城、福岡、東京
2017年
東京、仙台、大阪、名古屋、新潟
2018年
東京、福岡、大阪、愛知、宮城
2019年
名古屋、福岡、大阪、東京


このうち2016年の静岡は静岡県出身の深川麻衣の引退公演として行われましたのでここでは少々異質な公演です。
見てもらえればわかる通りツアーで周る都市はかなり偏っています。それも2015年~2017年は広島、新潟などの都市にも精力的に巡業していたのですが、ここ2年は都市の数が少なくなってきています。
もしかするとアイドル業界も一極集中が進み始めているのかもしれません。

個人的にはこの一極集中に今年生まれたリモート文化が拍車をかけることを懸念しています。
この文化の一環で、アイドル業界ではリモートライブなるものが行われるようになりました。



以前紹介したlyrical schoolが行ったリモートライブがこちらです。
メンバー一人ひとりが別々の場所で録画したものを合わせたのですが、まったく違和感なく見られます。もちろんメンバーのポテンシャルの高さがもたらすものですが、今までは考えもしなかったことが意外とうまくいってしまったのです。

これは完全なリモートライブといえますが、他のグループではメンバーは同じ場所で踊り歌い、その様子を有料で生配信する半リモートライブとでもいうべきライブも行われていました。
これを見たアイドルの運営が「あれ? この方式コロナ自粛終わったあとでも使えるんじゃね?」と考えることが怖いのです。

確かにリモートでも普段と同じクオリティのものが生み出せるのかもしれませんが、オタクとしてはライブの意義はそういうことじゃないんです… うまく言葉にはできませんが、アイドルのライブに一度でも行ったことがある方ならわかっていただけるのではないでしょうか。

首都圏のスタジオで少人数の客を入れて映像を撮影し、地方のファンには携帯端末を通してその様子を届ける

こんなライブがメインになっていく世界が近づいているのかもしれません。
それでも私のようにその文化に疑問を感じるファンは多いと思いますし、運営にはその気持ちを汲み取ってほしいものです。





シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする