記録以上の意味を持つ1戦が始まります。(今週の予想:天皇賞秋)


人気馬を疑ってかかる私としては非常に珍しく2週連続3冠がかかる馬に本命を打った今年の秋クラシック、2頭ともその期待に応える結果となりました。




2020 菊花賞




ゲートを出る直前馬番の近かったサトノインプレッサが暴れだしたのでコントレイルは大丈夫かな?と思ったのもつかの間、問題なく好スタートを切り気づいたら好位に位置していました。内枠だったこともあり終始馬群の中に入れる競馬になりましたが、前走の神戸新聞杯の勝ち方を見る限り全く心配はありませんでした。最後は2着馬に詰め寄られていましたが、並ばれて視界に入ってから2枚腰、3枚腰を使ったという印象で、たとえこれ以上に距離が伸びたとしても絶対にかわされないだろうと思えるくらいの勝負根性でした。





それにしても力のある馬に乗せた時のルメールは怖いですね。ゲートを出た直後からゴールするその瞬間まで一瞬たりともコントレイルからのマークを外しませんでした。最後こそ地力の差でコントレイルを抜き去ることはできませんでしたが、勝つならこれしかないという騎乗でした。あまりに完璧な騎乗でしたから、逆に次走以降距離が短くなってルメール以外が乗っても人気するようなら少し嫌いたい気すらしてきます。
春の2冠は大外ぶん回しで着差以上の価値があった皐月賞、正攻法から後ろを千切ったダービーと圧倒的な能力の違いを見せつけた印象でしたが、今回のレースでは苦しい展開でも馬体を合わせて伸び勝つというコントレイルの新たな一面を見た気がします。3着以下の馬たちはもう一度レースをすれば着順が入れ替わりそうな混戦でしたから、この馬とルメールはそんな一面を引き出してさらに3冠の価値を高めた立役者といえるでしょう。

紹介してきた通り先週あわやの場面を作り出したルメールが今週は主役です。今週予想する天皇賞秋(GⅠ)ではアーモンドアイの史上最多芝GⅠ8勝目がかかっているのです。現在時点で単勝オッズは1.4倍、3週連続での偉業達成に大きな期待がかかっています。
では今週もアーモンドアイに本命を打つのかといわれればそれは否です。今週はもっと推したい馬がいます。
それでは以下印と考察です。

今週の予想:天皇賞秋
◎ダノンキングリー
○アーモンドアイ
▲ダノンプレミアム
△クロノジェネシス

◎ダノンキングリー
GⅠは未勝利ながら、重賞ではGⅠ馬たちを何頭も負かしている現役屈指の実力馬です。戦績を見る限りベストは1800mだと思いますが、マイルを使った前走は明らかに脚が溜まらないままに直線に向いていて、少しペースが落ち着くことが予想される距離延長はプラスだと思います。
この馬の注目したいレースは去年の毎日王冠です。出遅れて後方からのスタート、2,3着馬は前残りという最悪の状況ながら、東京の長い直線をずっと伸び続けて最後は1馬身少々の差を付けました。1.44.4という時計も優秀です。今年の中山記念の前を早めにとらえに行って後ろの馬を抜かせないという競馬を見てもわかることですが、スピードの持続力に非常に優れている馬です。ちなみに毎日王冠で逃げたアエロリットは本番の天皇賞秋でも前半3ハロン0.2秒しか変わらないほぼ同じペースで逃げて3着に入っています。この時のレース上りは毎日王冠と同じ34.3秒で、単純に考えて東京2000mではアーモンドアイに匹敵する、もしかしたら上回るだけの能力があると思います。ここまで良い条件がそろっていると使い分けの影響で去年このレースを使わずチャンスを1回減らしてしまったことが残念でなりません。
内枠断然有利のコース形態でアーモンドアイより内を引けたのは大きいですし、ここで悲願のGⅠ制覇を見られそうです。

○アーモンドアイ
前述の通り史上初の芝GⅠ8勝目を狙う馬です。前走の安田記念ではゲートで少し後手を踏んだことやパンパンの馬場ではなかったことなど小さな要因が重なり前で運んだグランアレグリアに足元をすくわれる結果となりました。それでも昨年春秋マイルGⅠ制覇のインディチャンプを差し切っていますし、その前のヴィクトリアマイルは赤子の手をひねるように楽勝していますから、少なくとも年齢的な衰えというのは考えなくてよいと思います。
使い詰めの経験も少なく休み明けもいい、昨年勝ったコースで舞台適正もいい、となると死角はないようですが、決して器用な競馬をする馬ではないため取りこぼしも多い馬です。昨年の圧勝も1枠2番を引いて直線では簡単に最内が空くというこれ以上ない競馬をしてのものですし、状況が変わった今年なら他馬の台頭する余地があると思います。

▲ダノンプレミアムは前走不良馬場の海外遠征明けという最悪のローテーションで、敗因がはっきりとしています。昨年も原因こそ違えど安田記念大敗から天皇賞好走というローテですし、調教を見る限り今年もしっかりと間隔をあけて立て直している印象です。逃げ馬候補も数頭いる今年のメンバーなら昨年の再現があっても驚きません。





△クロノジェネシスは前走の圧勝を素直に評価して抑えといった感じです。ただレースの傾向的にマイル指向の強い馬の好走例が多く、前走ほど条件面でのアドバンテージは期待できないかと思います。

今思い返しても2018年の競馬界はアーモンドアイのためにあった年だと思います。桜花賞で絶対王者だったラッキーライラックを打ち破り、牝馬3冠、さらにはジャパンカップで古馬までもを撃破したのです。昨年までのキタサンブラックの時代から、鮮やかな世代交代を見せられてワクワクしたものです。
ただ、昨年ドバイターフを制した後宝塚記念ではなく安田記念を選択し、しかも負けてしまったあたりから少しずつスターホースへの道に暗雲が立ち込めたような気がしました(完全に個人の見解です、ファンの皆様申し訳ありません)。年末の有馬記念の惨敗も悪い意味で深く印象に刻まれたことでしょう。
それでも1競馬ファンとして2018年の圧倒的な輝きをもう一度見たいという気持ちは捨てられないのです。日本で古馬相手に勝ったGⅠはすべて東京競馬場ということで条件不問の名馬にはなれないのかもしれませんが、この相手にもう一度完勝すれば少なくともこの時代の最強馬として後世に語り継がれることになるでしょう。
今後のアーモンドアイにとってGⅠの勝利数という記録以上の意味を持つ重要な1戦がやってきます。

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