寺口夏花さん事務所退所、さくら学院解散からアイドルの有限性について考えます。

時が過ぎるのは早いもので、もう11月です。個人的には大学受験から一人暮らし開始という激動の一年でしたが、そんな今年も間もなく終わりを迎えようとしているのですね。
一人の人間としては充実した1年だった私ですが、アイドルオタクとしての1年の出来事はsora tob sakanaの解散、これ以外にありません。それだけ私たちに衝撃を与えた9月6日の解散ライブから間もなく2か月、オサカナ界隈に再び衝撃が走りました。




3人が所属していたテアトルアカデミーのホームページから「寺口夏花」の名前が消えたのです。何かの発表があったわけではないので他の事務所に移っただけという可能性もゼロではありませんが、事実上の芸能界引退と考えるのが自然でしょう。

先ほどは衝撃が走ったという風に書きましたが、正直なっちゃんの引退はうすうす予感していた部分もあります。というのもオサカナとしての活動の末期、明らかにSNS等でのこれからの将来を見据えたような発言が増えていたからです。アイドルのなっちゃんとしてではなく、人間寺口夏花が大人になっていく様子は手に取るようにわかりました。

いくらでも格好をつける書き方はできるのかもしれませんが、本音を言えば寂しい、もったいないと思う気持ちでいっぱいです。楽曲のアクセントになるなっちゃんの高い声はsora tob sakanaの楽曲には欠かせない唯一無二のものでしたし、なっちゃんが中心に作り出した奇をてらわない等身大の女の子が集まったグループの雰囲気は多くのファンを魅了していました。解散から時間がたった今冷静に考えても、一人で芸能界を突き進んでいくだけのポテンシャルを持った逸材だったと思います。

それでもオタクには本人が選んだ道をただ応援することしかできないのです。アイドルのなっちゃんを応援してきた人間としては、これから一般人寺口夏花として生活していく中で元アイドルであったことが少しでもプラスに働くようなことがあればこれ以上嬉しいことはありません。そしていつかまた表舞台に立つ日がくれば、その時は全力で応援させてほしいと思います。

アイドルという職業は基本的に生涯続けられるものではありません。私たちファンはアイドルの人生の中の一瞬を見ているにすぎず、彼女たちがいつ表舞台から消えるのかもわかりません。アイドルオタクではない人から見ればそれはむなしいことのように思えるのかもしれませんが、その有限性ゆえに私たちはアイドルに惹かれるのだと私は思っています。
そもそも考えてもみれば人間は常にこの世から消えるリスクをはらんでいるのです。外を歩いていたら車にひかれて死ぬかもしれませんし、何もしていなくても突然血管が切れて死ぬかもしれません。では人は身近な人がいつ消えるかもわからないからその人たちと交流するのをやめてしまうでしょうか。普通はむしろ逆ではないでしょうか。いつ会えなくなるかわからないからこそ、今交流できるこの瞬間を楽しむのです。
これはアイドルでも同じことです。双方向的な普通の人間関係に比べて基本的にはアイドルからファンに向けての一方通行であるという違いこそありますが、限られた時間の中で推しの成長を見守る喜びがアイドルを応援することの本質だと思います。

この有限性という部分に特にスポットを当てたグループも存在しています。
有名なところでは現「BABYMETAL」の中元すず香などを輩出した「さくら学院」でしょう。



中学校を卒業した時点でグループを卒業するルールで「成長期限定ユニット」というテーマがあります。現在までで在籍期間は最長のメンバーでも5年ほどです。ここに貼った2ndシングル「ベリシュビッッ」のMVが公開されたのが2011年の年末で、現在は全メンバーが入れ替わっています。

学校をモチーフにしているグループということで「校則」としてグループの指針を示しているのですが、その中にこのようなものがあります。以下公式ホームページから引用です。

一つ.卒業まで常に完全燃焼する!
だって、林芙美子先生がこう言ってたんだもん。 「花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かれど 風も吹くなり雲も光るなり」って。
「放浪記」の作者である林芙美子の言葉を引用し、常に完全燃焼をするというグループの方針を語っています。これは苦しいことが多くても、楽しいことも必ずやってくる(風が吹く、雲が輝く)という意味の言葉で、おそらくは常に全力でアイドルとしての活動に取り組むことで数少ない楽しい瞬間を逃さないようにしようという意味で引用されたのだろうと思います。
「花のいのちはみじかくて」というフレーズからもこのグループが有限性を一つのテーマとしていることが分かると思います。

ちなみにさくら学院は来年の8月いっぱいで解散することが発表されています。解散の理由は個人が様々な方面で活躍するという目標に向けて、一人一人に合った育成を強化するためということです。グループアイドルが飽和してきている現状、その枠組みの可能性自体に有限を感じたと言えるのかもしれません。
そんなに詳しいグループではありませんが、それでも解散は悲しいものですね。

次々回のブログですが、今回からの引き続きとして「tiptoe.」というグループを紹介しようと思っています。今回のテーマであった有限性という部分を更にピックアップしたグループで、個人的に今楽曲にはまっています。



詳しい説明は次々回にしますが、今回は最新曲「春の風速、帳が揺れて」のMVを貼っておきます。
この溢れる初々しさはどこからきているのでしょうか。




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