先週予想したジャパンカップ、戦前は3頭の3冠馬に注目が集まっていましたが、終わってみればラストランとなるアーモンドアイの完勝でした。
私の予想としてはトーラスジェミニとヨシオが逃げ争いをして後続の馬に脚を使わせる持久戦の展開となり、皐月賞の勝ち方を見る限りそういう展開ではコントレイルに分があるというものでした。しかし、実際のレースではキセキが珍しくスタートを決めたため逃げる展開となりました。
前半1000mの通過タイムは57.9秒で、超高速という馬場ではなかったことを考えればやや暴走気味と言えるペースでした
そうして直線に向いたわけですが、そこからはアーモンドアイの圧倒的な強さをただただ見せつけられました。有力馬の中では一番前を走っていたグローリーヴェイズ残り200mあたりでかわすと、あとは垂れたキセキを楽にとらえるだけでした。はるか後方に位置していたパフォーマプロミスやユーキャンスマイルといった重賞勝ち馬より1秒以上速い上がりをあの位置から使われると後ろの馬に用はありませんね。
戦前に2強対決や3強対決と目されているレースでは少なくとも1頭は、酷い時には全頭が馬券県外なんてこともあるのですが、このレースは下馬評通りの3強決着となりました。3連単の払戻額はGⅠ史上最低だったことからもどれだけ3頭に注目が集まっていたかがよくわかります。勝ち馬の強さだけでなく、ローテや状態面に不安がありながら上がり最速で2着に入ったコントレイル、世代レベルが懸念されながらも最後に強豪2頭をかわし3着に入ったデアリングタクトの強さも感じることができ、両馬にとって来年以降に繋がる素晴らしいレースでした。
GⅠレースは年に20以上行われますが、これだけレース前に心臓がどきどきするようなレースは記憶にありません。このレースに3頭が集結してくれたこと、そして力を出し切ってくれたことに本当に感謝したいです。
それでは今週の予想に行きましょう。今週は年に2回しかないJRAダートGⅠの一つ、チャンピオンズカップ(GⅠ)を予想します。
ジャパンカップもそうだったように、毎年秋GⅠは古馬勢と3歳勢の能力比較に頭を悩ませることになります。一般的にパワーが要求されるダート戦は馬体が完成しきった古馬勢が有力であると言われますが、ここ2年このレースでは3歳馬が優勝を収めており(ルヴァンスレーヴ、クリソベリル)、定説が覆りかけています。そして、今年もユニコーンステークスを圧勝した有力な3歳馬カフェファラオが出走してくるのです。古馬勢相手の初戦となった前走を勝利して臨む今回、この馬の取捨が最も大きなポイントとなりそうです。
今週の予想:チャンピオンズカップ
◎クリソベリル
○チュウワウィザード
▲エアスピネル
△クリンチャー
△サンライズノヴァ
△モズアスコット
◎クリソベリル
昨年の優勝馬であるこの馬の連覇に期待します。
レースでは逃げるインティの直後につけて砂をもろにかぶる位置であったにもかかわらず全くひるまない強靭な精神力を見せました。また、外から一段階早めに仕掛けたゴールドドリームに一度完全にかわされた後、内からもう一伸びを見せた勝負根性も十分なものを持っています。レースを総括すれば、それまでダート界の王者であったゴールドドリームからの世代交代を印象付ける内容だったと言えます。
その後サウジアラビアに遠征したレースは完敗したため、帰国してからの反動を心配したものの帰国してからはGⅠ連勝を飾っており、4歳12月にして未だ国内無敗を誇っています。条件も競馬場や馬場を問わないもので、ここでは逆らえないでしょう。
秋GⅠは現在1番人気が7連勝中です。もちろん原因は1つではありませんが、観客の少なさが有力馬にとっていい方向に働いていることは確かでしょう。このレースでも地力最上位のクリソベリルが優勝する可能性は高いのではないでしょうか。
○チュウワウィザード
昨年の4着馬であり、GⅠ2勝馬です。前3頭の争いにこそ加われなかったものの、馬群からはしっかりと抜け出しており地力を感じました。
この馬の実力を見直したのは前走のJBCクラシックです。外枠を引いたことで先行しにくい上、展開的に前に行かなければ厳しいこともあり印を回しませんでした。結局外枠から2番手につけることになったのですが、前のダノンファラオに楽をさせないために常にプレッシャーをかけ続ける損な役回りを引き受けることになりました。これは早い段階で沈むかな…と思っていたのですが、ダノンファラオをかわして結局3番手に粘りました。GⅠ馬ですから当たり前とはいえ、立ち回りの器用さとスタミナを改めて感じる内容でした。
今回は前走よりも先行馬がそろっていますから無理に先行する必要はありません。ここ1年の充実度を考えれば対抗に十分推せると思います。
▲エアスピネルはダート転戦4戦目にしてGⅠ初挑戦となります。初戦の2着も印象に残っているところですが、それ以上に強さを感じたのが前走の武蔵野ステークスです。ダートとしてはかなりのハイペースとなり、4角を一桁で通過した馬はほぼ全滅という厳しい展開を3着に
残ったのです。叩き2戦目で状態面にも進歩が見込めますし、悲願のGⅠをここでという可能性はあります。
以下今年のフェブラリーステークス勝ち馬で展開ハマれば面白い△モズアスコット、スタミナ勝負歓迎でぱさぱさのダートが生きる△クリンチャー、見込まれた斤量でも重賞戦線で安定して走っている△サンライズノヴァまでが連下です。
悩んだ結果カフェファラオは切ろうと思っています。前々走の大敗は地方の深い馬場が原因だったとしても、前走の低いメンバーレベルであの着差ではここでは厳しい気がします。新馬やユニコーンステークスを見ても分かるように相手によっては圧勝するタイプの馬ですから、ここではもう少し力をつける必要があると思います。