先週行われたヴィクトリアマイルは1番人気のグランアレグリアが勝利しました。
注目された先行争いは結局内枠を引いたクリスティが制することになり、ハイペースというほど速くはなりませんでした。決して遅いという事はありませんでしたが、グランアレグリアが持っている瞬発力を引き出すには十分な溜めが効くペースでした。
私もそうですが、4角で馬込みにいないのを確認した時点でグランアレグリアの勝ちを確信された方が多かったのではないでしょうか。得意条件で不利を受けなければまず負けることはないと思わせるこの馬の強さには惚れ惚れしますね。ゴール後の実況からも「強い」という言葉がもはやこの馬の代名詞になっていることが分かりました。
昨年に引き続き2着争いは先頭から離れたところになりましたが、多くの強豪を抑えてランブリングアレーが2着を確保したのには驚きました。前走の中山牝馬ステークスで重賞初制覇を果たしていたようにマイルより長い距離で持久力を生かしてきた馬でしたから、瞬発力勝負のここで結果を残したのは今後の展望が大きく開けたと言えます。普通ならGⅠ馬の称号を手に入れられるところが何馬身も前に化け物が走っていたことが不運でした。
少し評価を下げたレシステンシアはやはり展開が難しいレースになり力を出し切れなかった印象です。タイプ的にはフラットなペースを作り後続に足を溜めさせないタイプの逃げ馬ですが、今回は大外枠という事もあり内をけん制しながら好位につける競馬となりました。この馬自身も最後まで止まってはいないものの、やはり瞬発力勝負ではもっと得意な馬がいます。
阪神JFを2歳レコードで逃げ切ったようにハマれば圧倒的な強さを見せるこの馬ですが、最近はうまくかみ合わないレースが多い印象です。この春はスプリントで結果を残しましたがマイルも当然こなせるでしょうから、秋こそは条件のかみ合ったレースを見せてほしいものです。
ここまでヴィクトリアマイルの振り返りでした。
続いて今週の予想は3歳牝馬チャンピオンを決めるオークス(GⅠ)です。今年もいよいよオークス・ダービーウィークがやってきましたね。残念ながらPOGなどで応援している馬は出走できませんでしたが、それでも胸の高揚感を感じる特別な2週間です。
注目は何といっても無敗の2冠がかかっているソダシでしょう。デビューからGⅠ2勝を含む5連勝を達成し、デビュー時から注目されていた白毛という点はもはや特徴の一つとなり、歴史的名牝を目指す現役トップホースに駆け上がりました。
日本競馬に白毛血統を根付かせたシラユキヒメの一族はこれまでダートや重い芝などパワーを要する条件を得意とする馬を多く輩出してきました。しかし、ソダシは違います。デビュー3戦目で瞬発力が要求される東京コースで勝利を納めると、続く阪神での2戦もディープ産駒など軽い芝を主戦場とする相手を完封したのです。もちろん将来はダートへの出走も視野に入れているのでしょうが、現状では考える必要がないほどの完成度で他馬を圧倒しています。
派手な競馬をする馬ではないため実力ほど馬券は売れていませんが、ここでも中心を張るのは間違いないでしょう。これまで同様実力を疑問視する声を跳ねのけて無敗の2冠馬に輝けるのか、注目の一戦です。
Contents
レース傾向
以前は2分15秒台での決着が多かったこのレースですが、最近は馬場状態が良好なまま開催後半を迎えることが増えたために2分14秒を切る決着も増えています。もちろん桜花賞組は大幅な距離延長となりますから舞台適性を考えることは重要ですが、それと同じくらい他馬を千切る速い上がりを持っているかが重要になるレースです。
また、直線が長い東京競馬場で行われるレースとしては珍しく先行馬の残り身も十分に期待できます。距離延長で折り合いを重視する馬が多いため前のペースがそれほど速くならないためです。かといって差しが届かないレースでもありませんから、最後は地力勝負になることが多いです。
レース条件
馬場
昨日のメイステークスではレース直前に降水がありやや前残りの傾向が見られましたが、今日芝で行われたレースは先行から差しまで届く非常にいい状態で進行しています。特にバイアスはないとみて良いでしょう。
ただし、タイムはパンパンの良馬場に比べると+1秒ほどかかっている印象です。重馬場を苦手にする馬を割り引くほどではないものの、考慮には入れるべきです。
展開
明確な逃げ馬が不在のメンバー構成で、展開は非常に予想しづらいです。候補として考えられるのはクールキャット、ウインアグライア、ソダシ、スライリーあたりでしょうか。もしソダシが逃げる展開になればスローの瞬発力勝負になるのは必至ですから、何とか他馬を行かせて2番手あたりを確保したいところでしょう。
これら以外の馬が一発を狙って仕掛けるようなことがあればレース自体が壊れてしまう可能性もあります。どちらにしても勝ちにいかなければいけない人気馬は難しい選択を迫られそうです。
印と考察
◎ミヤビハイディ
○ソダシ
▲ユーバーレーベン
△ファインルージュ
△クールキャット
△タガノパッション
◎ミヤビハイディ
前述の通り今回のレースは展開が非常に読みにくく、勝ちを狙って競馬をするのが非常に難しくなりそうです。ということで、紛れの多い展開で力を発揮したときの大波乱に期待し人気薄のこの馬を本命にしました。
注目したいのは前走の1勝クラスです。これまでマイル戦を先行で戦っていたこの馬ですが、初の距離延長となったこのレースでは後方に控える競馬を試しました。前半3ハロン38.0秒とかなりのスローペースとなってしまいこれは届かないかと思われましたが、直線の急坂でも1頭だけ伸び続けて前を差し切りました。他は完全に前での決着でしたから、ここでは完全に力が抜けていました。
今回全く人気がないのは2月のクイーンカップでここに出走してきた多くの相手に完敗しているからでしょう。確かにそれらの馬は高い壁となって立ちはだかりますが、控える競馬でゲットした上がり33.5の豪脚と母父ハーツクライ・父エピファネイアという距離延長大歓迎の血統が活きるここなら逆転があってもいいと思います。様々なデータを跳ね返す世紀の大波乱を期待しましょう。
○ソダシ
阪神JFと桜花賞は着差こそなかったものの、何度やってもこの馬が勝つだろうと思える勝負根性とレースセンスを見せていました。サトノレイナスがダービーに向かった今一番の強敵はアカイトリノムスメになるのでしょうが、桜花賞の直線で同じくらいの位置取りから見せた瞬発力の違いを考えればこの馬は現状敵ではないでしょう。
そんなこの馬に唯一大きくのしかかるのはクロフネ産駒が抱える距離の限界です。2000mを超えたあたりからクロフネ産駒の好走率はグッと下がってしまうのです。現在歴史的名馬と言われるジェンティルドンナやキタサンブラックも3歳時に距離不安を跳ねのけて戴冠した実績を持っていますが、ソダシはそこに続くことができるでしょうか。
▲ユーバーレーベン、△ファインルージュ、△クールキャット、△タガノパッション
▲ユーバーレーベンはここにいるメンバーで唯一ソダシと差のない能力を持っている馬だと思います。前走こそ完全な前残りの展開に泣かされましたが、展開がごちゃごちゃしそうなここでは自分の型を持っていることが活きそうです。
以下は前走で一線級の力を示し鞍上も心強い△ファインルージュ、近年好走の多いフローラステークス勝ち馬で良い瞬発力を持っている△クールキャット、こちらも前走前を一瞬でかわし切った△タガノパッションまでが連下です。ここは前哨戦でしっかり結果を残した馬が上位に来ると予想します。
今回は今年一番の大穴を狙うことになりました。こんな人間が多くいる中でソダシが実力で我々を黙らせてくれればこれからの競馬界も楽しみになりますね。