レシステンシア試練の大外枠でレースは混迷を極めます。(今週の予想:ヴィクトリアマイル)


先週行われたNHKマイルカップはシュネルマイスターが勝利しました。




2021年 NHKマイルカップ(GⅠ) | シュネルマイスター | JRA公式




レースは展開の鍵を握り人気も背負っていたバスラットレオンがゲートを出てすぐに落馬するという波乱のスタートになりました。この馬が逃げていればもう少しペースも落ち着いていたのでしょうが、実際には外から抑えが効かなくなったピクシーナイトが入りの3ハロン33.7秒というスプリント戦並みのハイペースで逃げ、流れる展開となりました。やはりゲートが開くまで何が起こるかわからないのが競馬だと改めて思い知らされたレースでした。

そんな波乱の展開を制したのは外国産ジョッキー騎乗()の外国産馬シュネルマイスターでした。道中は中段につけ、直線に入ると早めに追い出しを開始してゴール前ハナ差捉えきりました。決して後方のポジションを取っていたわけではありませんでしたが、最高速を出すまでに少し時間がかかったことと前を行ったソングラインが想定以上の走りを見せたことで派手な形での勝利になりました。最後止まった前走と少し置かれた今回を見ると距離は1800mくらいがベストになってくるのでしょうか。秋は毎日王冠あたりで適性を見てマイル路線か中距離路線を選択することになるのでしょうが、いずれにしても将来の楽しみが広がる勝ちっぷりでした。

私は戦前の予想で混戦を制す足がかりになるのはジョッキーの騎乗ぶりだと書きました。今回はまさにその通りになったという印象で、ゴール直前で計ったように差し切ったレースはさすがとしか言いようがありません。フィエールマンが差し切った昨年の天皇賞にしてもそうですが、このフランス人にはレース前から勝ち切る姿が見えているのでしょうか。

悔しいのは2着のソングラインです。早めに抜け出した2歳チャンピオングレナディアガーズを残り200mあたりでかわすと、一度は完全に後続を突き放したかに見えました。しかし、前述の通りゴール寸前で外から交わされての2着となってしまいました。パトロールビデオを見ると最後かなり内側によれていて、死力を尽くしての2着だったようです。とはいえこの馬も不利を受けて力を出せなかった桜花賞からしっかりと巻き返してきましたし、秋以降の牝馬戦線で中心になっていく存在でしょう。

ちなみに3着のグレナディアガーズまで全てサンデーレーシングの所有馬で、調べたところ同一馬主がGⅠの馬券を独占するのは2012年のジャパンカップ(1着ジェンティルドンナ、2着オルフェーヴル、3着ルーラーシップ)以来のようです。最近はシルクやキャロット等のお手軽1口クラブの活躍が目立ちますが、久々に最高級1口クラブの権威を感じられたGⅠになりました。

以上ここまで先週の振り返りでした。

それでは話を今週に移しましょう。今週は春の牝馬限定GⅠヴィクトリアマイル(GⅠ)です。昨年の覇者アーモンドアイを同コースで破った経験があるグランアレグリアの参戦によってがぜん盛り上がりを見せています。他にも多くの重賞勝ち馬が順当に駒を進めてきたこのレース、波乱を起こす馬は現れるのかチェックしていきましょう。




Contents

レース傾向




戦法が確立された馬が多い古馬のGⅠが直線の長い東京で行われるということで、基本的には落ち着いた入りになることが多いレースです。当然ながら直線では溜まった脚を爆発させる馬が複数いるため全体のラップは後傾気味で、勝ちきるにはラスト3ハロン33秒台前半~32秒台後半のトップスピードが必要です。

一方奇策を打つ馬がいたり、距離延長組でマイルの流れに抑えが効かない馬がいると前半から流れフラットなペースを刻むこともあります。2015年のミナレットが逃げたレースは高額配当レースとしてあまりに有名ですが、その前後2年も同じようなラップで波乱の結果となっています。




レース条件




馬場




昨日行われた京王杯スプリングカップは1分20秒を切る時計が出ており、開催中盤に差し掛かった今週も非常に良好な馬場状態がキープされています。ただし今日は朝から不安定な天候に見舞われていますからレース直前まで見極めが必要でしょう。もし雨の影響が全くなければ展開次第で昨年・一昨年に近いようなタイムを記録するかもしれません。

また、内外の差はそれほど考える必要はなさそうです。展開によって逃げ残りから大外一気までバランスよく決まっていますし、ここは地力勝負が期待できます。




展開




カギを握るのは快速馬レシステンシアですが、今回は大外に入ったことで予想が難しくなりました。いくらテンが速い馬とはいえ大外から先頭を取り切るのはなかなかの体力を使いますし、控える可能性も十分に考えられます。この馬の出方次第でレースが大きく変わってくるため他馬もうかつに動けなくなり、前述のような伏兵の台頭は厳しいのではと考えています。

この馬が逃げなかった時の逃げ候補はクリスティ、ディアンドルあたりですが、前者はどちらかというとペースを落として逃げるタイプですし、後者はこちらも外枠を引いています。例年通りの後傾ラップを想定するのが良いでしょう。




印と考察




◎グランアレグリア
○マジックキャッスル
▲デゼル
△レシステンシア
△プールヴィル
△スマイルカナ




◎グランアレグリア




昨年の最優秀短距離馬です。かなりの人気を背負っていますが、今回は逆らえないと思います。

注目したいのはアーモンドアイを倒した昨年の安田記念です。この時私はアーモンドアイを倒せるとすれば100%の力を出した時のこの馬しかないと思い本命にしたところその通りのレースを見せてくれました。人気各馬より前のポジションを取りながら上がり最速の32.7秒の脚を使った文字通りの完勝で、圧倒的な瞬発力とトップスピードの高さを見せた内容でした。

以前は展開面などで脆さを抱えていた馬ですが、昨年のGⅠ3連勝でマイル以下の距離では完全に敵がいないことを証明しました。前走は距離・馬場ともにベストではない条件でしたから、ベスト条件のここに戻っての完勝を期待します。




○マジックキャッスル、▲デゼル




最有力の前哨戦である阪神牝馬ステークスで好走した2頭が本命のグランアレグリアからはかなり離された2.3番手評価です。

その阪神牝馬ステークスは決して高レベルのメンバーではありませんでしたが、内容自体は充実したものでした。前半3ハロンが35.2秒とやや落ち着いた入りになったことで極端な瞬発力勝負となり、この2頭は高い適性を見せたのです。特にマジックキャッスルの方は直線で前が開くまでに時間がかかり最高速が出せたのはラストの100mほどだったにも関わらず、32.4秒という圧倒的な上りをたたき出しています。

今回も瞬発力勝負が予想されますからこの2頭はしっかりと評価し、その中でもスムーズなら勝っていたであろうマジックキャッスルを上に取ります。




△レシステンシア、△プールヴィル、△スマイルカナ




レシステンシアに関してはやはり大外枠がかなり堪えそうです。変に抑えて持ち味を殺すよりは気持ちよく逃がした方が良い気もしますが、直線の長い東京で逃げ切るのは至難の業であることも確かで非常に難しいレースが予想されます。地力だけでどこまでやれるでしょうか。

また、展開が予想しづらい時はどんなレースでも好走できるかつGⅠでの好走歴がある馬を重視したいですね。ここではプールヴィルとスマイルカナの2頭に期待します。




いよいよ来週再来週はオークスとダービーです。今年も未成年の私は競馬場に入れませんが、気持ちを高めていきます。