混戦の3歳マイル王者を決める騎手の技量差に期待します。(今週の予想:NHKマイルカップ)


先週行われた天皇賞春はワールドプレミアが勝利しました。




2021年 天皇賞(春)(GⅠ) | ワールドプレミア | JRA公式




事前の展開予想の通りディアスティマが馬群を引っ張る流れとなり、最後の直線では地力が試されることになりました。道中は内でじっとしていたワールドプレミアですが、直線に入るとスッと外に持ち出し前を差し切るという着差以上の完勝でした。まるで昨年コントレイルが勝利した皐月賞を見ているようで、福永騎手の好騎乗が光ったレースでした。

馬主はコロナ給付金の不正受給を斡旋したとか何とかで問題になっているようですが、ここは「罪を憎んで馬を憎まず」です。菊花賞と天皇賞春という伝統の二レースを制した当馬は間違いなく名馬ですし、これからの長距離界を引っ張っていく存在になるでしょう。また、JRAにとって勝たせたくない馬が勝利を収めたことで公正に競馬が行われていることもよくわかりましたね。

2着のディープボンドもワールドプレミアに負けず劣らずの強い競馬を見せました。こちらはカレンブーケドールとともに人気馬の中では前目のポジションを取り常に後ろからプレッシャーをかけられる形になりました。4角の手ごたえも決して良くなく、これは馬群に沈むかもと思ったところを並ばれてから二枚腰を使って2着に粘りました。凱旋門賞にも登録されたということで、積極的な競馬を期待しましょう。

3.4.5着には人気馬の中で軽視していたカレンブーケドール、アリストテレス、ウインマリリンが入りました。各馬持ち味を生かして勝ちに行きましたが、最後は持久力が生かされる展開が向かず勝ちを逃した印象です。それでも条件面では利があった下位人気の馬たちをねじ伏せているあたりに地力の高さを感じます。今後の各路線でも上位の評価をしていくべきでしょう。

ここまで天皇賞春の振り返りでした。

話題はかわってここからはNHKマイルカップ(GⅠ)の予想です。東京競馬場で行われる5週連続GⅠ競争の開幕戦になります。

今年のメンバー構成は例年以上に対戦経験がある馬が多いことが特徴です。朝日杯フューチュリティステークスを制したグレナディアガーズを中心にバスラットレオンやホウオウアマゾン、更にファルコンステークスでルークズネスト等それぞれのレースで異なった馬が勝利していますから、そこから各馬の適性を探っていきたいところです。

また、別路線組からは弥生賞2着のシュネルマイスター、桜花賞15着のソングライン、きさらぎ賞3着のランドオブリバティなども参加しており、これらとマイル路線組の能力比較も重要なポイントです。




Contents

レース傾向




GⅠ競争は年に20前後行われますが、NHKマイルカップは特に強くレース傾向が出ているレースです。

過去5年の勝ち時計は全て1.32秒台に収まっていますし、レースの入り3ハロンはおおよそ34秒台前半と平均ペースを刻んでいることが分かります。これは3歳戦ということで今後の成長のために極端なレースを展開する馬が少ないこと、他路線に比べて対戦済みのメンバーが多くレースの型がはっきりとしていることなどが原因として考えられ、今年もその傾向は引き継がれそうです。

また、過去5年のレースを見ると残り3ハロン~2ハロンで11秒台前半のラップが刻まれていることから分かるように東京の開催前半らしい瞬発力がモノを言うレースです。実績馬の中でもフラットなペースでしか結果を残せない馬は軽視していきたいですね。




レース条件




馬場




Aコース使用の開催3週目という事もあり3~4コーナーにかけては内側に痛みが出ているようです。かといって過去のレースでも極端に内側を開けるような様子は見られませんから、これは気にするものでもないでしょう。

土曜日芝で実施されたレースの時計は少し速い程度で、数年前にレコードが頻発したような超高速馬場にはなっていないようです。例年のレース傾向通り瞬発力を持った差し馬を狙えば大丈夫です。




展開




前走逃げて勝ったのはルークズネスト、バスラットレオン、ピクシーナイトの3頭ですが、この内毎回先行しているのはバスラットレオンのみです。内枠を引いたことで他馬は競りかけるだけ損ですから、この馬が逃げて隊列はスッと決まりそうです。

あとはバスラットレオンがどのようなペースを刻むかですが、過去極端なペースを刻んだレースはない上に藤岡佑騎手に奇襲を仕掛けるようなイメージもないですからミドル~ややスローに落ち着くでしょう。




印と考察




◎ルークズネスト
○シュネルマイスター
▲ショックアクション
△ホウオウアマゾン
△ソングライン




◎ルークズネスト




本命は前走ファルコンステークスでグレナディアガーズを下したルークズネストです。もちろんそのレースでは高い地力を見せましたが、注目したいのは初勝利を収めた未勝利戦です。

このレースでは5分のスタートを決めた後馬群に入れようとしたところを外からの斜行に遭い一度手綱を引くような仕草を見せています。精神力の弱い馬はここでレースに参加できなくなる可能性がありますが、この馬は難なくもう一度馬群にとりつきました。

その後直線に入ると軽く仕掛けただけで前を飲み込み先頭に立ちます。この時見せた瞬発力は上のクラスでやれてもいいレベルの高さで、実際にその後重賞で好走を収めています。最終的にはここにも出走しているリッケンバッカーに差を詰められましたが、脚力はこちらの方が一枚上手でした。

前々走シンザン記念でも前有利の展開を一頭外から差しての2着と強い精神力と非凡な脚力で安定感のある競馬をしている印象です。内枠を生かした上手な立ち回りに期待します。




○シュネルマイスター




2番手以降の評価は非常に迷いましたが、ここは別路線から駒を進めたシュネルマイスターに期待します。

前走距離延長を試した弥生賞では逃げたタイトルホルダーをマークするような形で2番手からレースを進めました。結局前を捉えるどころか距離を詰めることもできず、少し評価を下げる一戦となりました。しかし、その後タイトルホルダーが本番の皐月賞でも2着を確保したこと、2歳チャンピオンのダノンザキッドを抑えていることを考えれば少し相手が楽になるここなら勝負になっていいはずです。

また、こういう混戦では騎手の差が勝敗を分けることもままあります。「結局ルメールかよ!」といういつもの叫びにも期待して対抗評価です。




朝日杯勝ち馬のグレナディアガーズ、NZT勝ち馬のバスラットレオンは今回軽視で行きたいと思います。昨年の暮れに行われた朝日杯ではこの2頭に印を回し結果好走したのですが、この時と今回では求められる能力が真反対です。フラットなペースを刻み続けるレースで結果を残した2頭が過去の実績から人気になるなら、近走不振も新潟二歳ステークスで並ぶ間もなく前を差したショックアクションなどに懸けてみたいところです。

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