簡単にはレースに勝てないswitch版「ダービースタリオン」のレビュー・感想です。

3か月ほど前に騎手シュミレーションゲームである「チャンピオンジョッキー」について紹介する記事を書きました。まだ読まれていない方はこちらを読んでから今回のブログを読まれることをお勧めします。



考えていたネタがボツになり正直苦し紛れで出した回でしたが、なんとこのブログ全体でも1,2を争うほど閲覧の多い記事になっています。笑 コロナによる巣ごもりが想像以上に長く続いたことで競馬ゲームのような永遠と遊べるゲームの需要が高まったということでしょうか。

この回の最後にスイッチ版の「ダービースタリオン(通称ダビスタ)」が近日中に発売されると書いていて、昨年12月3日に待望の発売日を迎えました。極端なゲームバランスから徐々にファンが離れていったことは間違いありませんが、それでもTwitterのFFさんはこぞって購入していて一世を風靡した「ダビスタ」のブランドは簡単に廃れるものではないと感じました。

発売日から1か月余りが経った今回は遊んでみての感想や良い点・悪い点についてのレビューを行っていこうと思います。賛否両論が生まれそうな点は別で目次を設けるなど、できるだけフラットな目線でのレビューを書こうと思いますが、個人の嗜好が混じってしまう部分があることはご了承ください。

それではどうぞ。



Contents


1.良い点

  • グラフィックの向上
前作「ダビスタGOLD」やそれ以前の作品と比べると圧倒的にグラフィックが綺麗になったように感じます。それでいてアニメ調の雰囲気も残していることで、とことんリアルなグラフィックを追求したウイニングポストシリーズとの棲み分けもなされています。シンプルながらゲームに没頭するうえで重要な部分が向上しているのは良い点です。

  • レースバランスの大幅な改善
上のブログでも書いたように、前作「ダビスタGOLD」は逃げや先行といった戦法を取った時点でほぼ負けが確定する極端な差し追い込み有利の崩壊したレースバランスとなっていました。それ以外にもコーナーで内を走った馬が自動的に前に押し出される、直線で内を突く差し馬はほぼ確実に詰まるといった問題点を多く抱えていたゲームでした。



一部では今回の作品は逆に逃げ先行有利のバランスになっているとの批判もあるようですが、私個人としては良好なバランスに仕上がっていると感じます。この映像は私が実際にプレイした映像で、4角最後方にいた私の所有馬は直線大外を一気に伸び直線では前を行く馬を交わしました。
ゲーム内でも逃げ馬が多くペースが速い時には差し馬が、控える馬が多くペースが落ち着くときには逃げ馬が台頭しやすいことが述べられているように、過去作に比べて実際の競馬に近い仕上がりを実現していると言えるでしょう。

また、コーナーを回る際の内外による不利や内を突いた馬の進路確保についても前作ほどひどい頻度や程度で起こることはなくなりました。この辺りは実際の競馬でも起こり得ることですから、要素を完全に消すのではなく、プレイヤーの苛立ちに繋がらない程度に残すのは良い判断だと思います。

  • 本物の競馬に近づけるための多数の細かな改善点
2つ目の点と被る部分がありますが、競馬のリアルさを追求するための改善点がレースバランスの改善以外にも随所に見られます。

パッと思いつくのは馬上における騎手の動作がよりリアルになったことでしょうか。前作ではこの点においてどんな競馬場でも直線に向くまで一切追わない、直線に向いてもほとんど鞭を入れず全員が非常にきれいなフォームで追い続ける、といった不自然さが目についていました。もちろん秋山真一郎騎手のように終始フォームが崩れないジョッキーも少数いますが、2頭の追い比べても全く動じずに乗るのはいささか気持ち悪さを感じます。

今作では3角から4角に向かうあたりで馬に気合いをつける様子や、馬が伸び始めると少しずつムチの頻度が減る様子が確認できます。これだけ再現するためにはジョッキーの動きについてかなり詳しく研究を重ねたのではないかと思います。細かい部分ですが、実際の競馬を見ている人にとっては没入感が全く違ってくるのではないでしょうか。

他にも放牧の復活、成長タイプによる入厩時期の差が生まれたこと、クラブ馬を所有できるようになったこと(かなり高いレベルにならないと所有できないため私はまだ所有できていませんが)などが良い点として挙げられます。


2.賛否両論点

  • 初心者には厳しいゲームの難度
少し牧場運営をミスするとすぐに倒産してしまうというのはダビスタのお約束ですが、これが初心者お断りの要素になっているという見方もあるようです。

具体的な話をすると、ダビスタはゲーム開始時の所持金がわずか2000万円しかありません。ウイニングポスト9では開始時に30億円を所持している(こちらは借入金で1年に1億円ずつ返済することになりますが)ことを考えるとかなり少ない金額であると言えます。1頭も馬を所有していなくても毎月牧場維持費がかかる上に、競走馬を生産する繁殖牝馬にかかる費用や競走馬が2歳でデビューするまでにかかる費用は非常に大きな負担となります。

また、レースそのものに勝つ難易度も同種のゲームに比べるとかなり高くなっています。オープンクラスで走るどころか、未勝利を勝つのにも一苦労といった具合です。前述した資金繰りの苦しさも相まって苛立ちの種になってしまうことがあるようです。

ただし、難しいと言っても決して非難を受けるようなゲームレベルではありません。ダビスタはもともと難度が高いゲームだと知っていて、ある程度難しいゲームの方が燃える私のような性格の人にとっては非常に楽しい仕上がりになっています。実際初めて40年ほどで顕彰馬に選ばれる馬も出ましたし、人によってはむしろ遊びごたえがあるといういい点になり得ると思います。

  • 微妙な仕上がりの音声実況機能
シリーズ初の音声実況機能を搭載しているということが今回の目玉でしたが、この仕上がりが微妙です。雰囲気が演出される点は悪くありませんが、直線で名前を呼ぶのは先頭と2番手の馬までで本物の競馬実況からは程遠い仕上がりになっています。また、この機能のためか実況中は条件クラスの特別戦が平場のレースと同じ呼び方になっているのも残念です。

この点については、ゲーム最大の問題点に繋がっている可能性があるのも気になります。音声実況を実装することがゲームの稼働にどの程度負担を与えているのかが大きな問題になりそうです。


3.悪い点

  • ロードが随所に挟まれる、そして長すぎる
このゲーム最大の問題点です。メニュー画面からゲーム画面に移動する際、競走馬や繁殖牝馬のデータを確認する際、出馬表を見てレースを開始する際などとにかく随所にロードが入るのです。また、ロードは短くて5秒長い時には20秒近くかかることもあり、ゲームをプレイしているのに他に暇つぶしの道具が欠かせないというあり得ない状況になっています。

もともとダビスタは複雑な要素を切り捨て効率を重視することにより、自分で考えた配合を早いサイクルで試すことができるという理由で人気を集めたゲームでした。本来は不必要な要素を付け足さずオリジナリティを守ったことを良い点として書く予定でしたが、あまりのロードの長さによってその良さがかき消されていると思います。幸い今はネットを通じてゲームを発売後に修正できる時代ですから、ロード時間の減少によって今後のゲームの評価が改善することに期待したいものです。

  • 長時間のプレイで挙動が遅くなる
こちらもゲームの稼働に関する問題点です。ゲームを開始してすぐは滑らかに馬が動くのですが、2時間3時間とプレイすると徐々に時計の進みが遅くなり、馬の挙動がもっさりとしてきます。一言でいえばレースにスピード感が無くなるのです。



こちらも私のプレイ映像です。先ほどの動画と比較すると、ゲーム内での時計の進み方が遅い上に馬の挙動も不自然に遅いことが分かっていただけると思います。

この点に関しても少し空いた時間に気軽に遊ぶようなゲームならさほど気にならないのですが、ダビスタはしっかりと時間を確保して長時間一人でやりこむゲームです。遊んでいるうちに重くなっているというのはゲームにとって致命傷です。そもそも何のために高いお金を払ってゲーム機を購入しているのかわからなくなってきます。


4.感想

以上今回はスイッチ版ダービースタリオンについてのレビューでした。

一部の人からは非難が上がっている難易度やレースバランスについては実際の競馬とのギャップを埋める上で仕方がない部分もあり、そういう意味では的外れな指摘であると言えるのかもしれません。個人的にゲームの仕上がりそのものは過去作の良い部分を残し、改善すべき点が改善された良作だと思います。競馬初心者にお勧めするとしても、派手に過去の競馬について演出するウイニングポストシリーズよりも、純粋な競馬の楽しさを感じられるこちらを勧めるでしょう。

しかし、ゲームの稼働に関する2つの問題点はこの作品の評価を大きく下げています。おそらくゲーム全体の情報量はライバルゲームと比べても多くないはずですが、挙動の不安定さやロード時間の長さはそれらの比になりません。気軽にトライアンドエラーが繰り返せるというシリーズ作品一番の良い点を無駄にしないためにも、この点に関しては早急な対応が必要になります。



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