先週乃木坂の運営に対して苦言を呈してMV集について書くのをやめたわけですが、作品自体に罪はないということでやはり一応紹介しておこうと思います。
乃木坂の2作目のMV集になる「ALL MV COLLECTION 2 ~あの時の彼女たち~」に収録される「ゆっくりと咲く花」という曲のティザー広告です。
広告の中でも触れられているようにこの曲は配信で行われた「幻の2期生ライブ」のために書き下ろされた曲です。もともと国立代々木体育館で行われる予定だった2期生ライブが新型コロナウイルス感染拡大のために中止になり、その代替として行われたのが「幻の2期生ライブ」です。
そのような背景で作られた曲ですから当然このライブで初披露され、現時点で披露されたのはその一回だけです。一番の推しである佐々木琴子さんの卒業興行という側面も持ち合わせていましたから当然私も見ていましたが、披露のされ方も一通りのセットリストを披露し終わってからサプライズのような形で披露されるというもので、感動するもののように思えました、このライブの背景を知らない人にとっては。
ある程度の時期にコロナが収束してくれれば一度は配信という形で披露されたこの曲をファンの目の前で披露することもできたのでしょうが、みなさんご存じの通りひと夏を超えようとしている今でもその勢いは陰る気配がありません。また、「route246」や「世界中の隣人よ」といった話題性に優れた配信シングルを発売し、今後は白石麻衣の卒業ライブといった新たな配信ライブが控えているのが現状です。おそらく運営はMV集にこの曲を収録することで中止となった2期生ライブの存在について一区切りつけて次の目標に進もうと考えているのだと思いますが、私はそもそも2期生ライブが開催されることが決まった時から今まで疑問がいっぱいです。
1つ目の疑問はそのライブの名称です。
もともと対面で行われる予定だった2期生ライブの正式名称は
『「乃木坂46のオールナイトニッポン」 presents 乃木坂46 2期生ライブ』
でした。ここだけを見れば疑問を感じるような点はないように感じますが、昨年11月に行われた3・4期生ライブのタイトルを見れば違いに気づくはずです。
『乃木坂46 3・4期生ライブ』
こちらが3・4期生ライブの正式名称ですが、3・4期生ライブには提供がないのにも関わらず2期生ライブには「乃木坂46のオールナイトニッポン」というラジオ番組からの提供があることがわかると思います。
一見すると提供がついていることは良いことのように思われますが、問題は提供のない2期生ライブが開催されたことがないということです。
言い換えればこのライブは内部の人間である運営からのGOサインによって行われたものではなく、外部の人間であるスポンサーの力で突き動かされて実現したものである可能性が高いということです。
2期生ライブを望む声は3・4期生ライブが行われるはるか前から存在していましたが、この時結局はスポンサーからの鶴の一声がなければ一切実現しないのだなと思わされました。提供がなくても期別ライブを開催してもらえる3・4期生と提供が来るまでさせてもらえなかった2期生にどのような違いがあるのか、一度運営の言葉で聞いてみたい気持ちです。
2つ目はコロナによるライブ中止の判断についてです。
といってもライブが行われる予定だった3月は爆発的にコロナの感染者が増加した時期であり、中止をした判断自体に疑問があるわけではないのです。
問題はその2週間ほど前に行われた『乃木坂46 8th YEAR BIRTHDAY LIVE』です。いわゆる「バスラ」と呼ばれる毎年2月に行われる乃木坂の結成を祝うライブで、今年はナゴヤドームで2月21日からの4日間行われました。私自身2月下旬に行われる予定だった卒業式の練習は中止になりましたし、ライブが中止された3月と状況に大きく違いがあるとは思えずこの強行には疑問しかありませんでした。
実際このライブに関する注意事項には次のような記述がありました。以下引用です。
■ご来場の皆様へ
新型コロナウイルス等の感染予防・拡散防止のため、下記のご協力をお願いいたします。
・体調にご不安のある方は、くれぐれもご無理をなさらないようにお願いいたします。
・会場内に消毒液を設置しておりますので、ご協力ください。
・「咳エチケット」にご協力ください。咳・くしゃみ等の症状がある方はマスクをご着用ください。
・会場内で気分が優れなかったり、体調が悪くなったりした際には、お近くの係員まで、お声がけください。
・感染予防・拡散防止のためにスタッフがマスクを着用してのご案内をさせて頂く場合があります。ご理解いただきますようお願い申し上げます。
この頃はまだソーシャルディスタンスを確保して喚起をしっかりと行うというコロナ感染防止のための指針ができておらず、このような注意事項は書いてあるだけで意味がないという状況でした。
このような情勢にもかかわらずバースデーライブを強行したのは、中止による売り上げの減少を嫌がってのこととしか思えないのです。
もし違うというのであれば運営にはバースデーライブが行われた2月21日と2期生ライブが行われる予定だった3月7日ではコロナの感染状況にどの程度の違いがあり、どのような基準で開催の可否を決定したのかということを明確に示してほしいと思います。
また、より早い時期に卒業を発表していた白石麻衣の卒業公演はかなりの期間延期という措置を取って先日ようやくオンラインで行う事にしたのに対し、2期生ライブは早々に中止という判断がとられたことも引っかかっています。スポンサーがついていることなど、ライブの性質が違うことは重々承知していますが、あまりに早い決定だったのでやはり不信感を抱いてしまいます。
そして3つ目はこの「ゆっくりと咲く花」という曲についてです。
公式サイトではこの曲について次のように説明されています。以下再び引用です。
野に咲く花は色々あれど、どんな花でも種から芽を出し花を咲かせ、そしていつかは光を浴びる。
同期の仲間と共に、前へ進んでいく2期生の姿を彷彿させるMusic Videoとなっています!!
まさか2期生の姿を彷彿とさせるのはMusic Videoだけで曲とは一切関係ないなんてことはないでしょうから、要するに2期生のことをイメージして描かれた曲ということでしょう。ただ、果たして2期生は本当に「ゆっくりと咲く花」だったのかということについて私は甚だ疑問でならないのです。一人ひとりが舞台やクイズ、将棋、アニメといった自分の得意な分野において外仕事を獲得する力を持っていた2期生に一度も選抜というチャンスを与えることすらせず、運営が彼女たちを「ゆっくりと咲く花」に仕立て上げただけなのではないかと。このような曲を作って彼女に歌わせることによって、その事実を美化しようとしているように見えて私はつらいです。せめて「自分なんかどうせダメだと思わずに 頑張ってみよう 誰かがきっと見ててくれる」という歌詞だけでも自分たちを応援してくれたファンに対する彼女たち自身の言葉であることを願うばかりです。
選抜の話をすると必ず握手会の売り上げの話を引き合いに出す方がいらっしゃいますが、あんなものは鶏が先か、卵が先かという問題です。新メンバーをファンに対してアピールする手法は回数を重ねるごとに洗練されていくのが当たり前ですし、洗練された方法でアピールできたからこそ多くのファンを得ることができた可能性も大いにあります。すべてのメンバーを同じ方法で売り出すことは難しいとしても、ある程度のチャンスが与えられなければそもそも知ってもらうことすらも難しいのは当然です。
これだけ多くの引っかかる点があるにもかかわらず、この曲がMV集に収録されたことを手放しで喜び購入することは私にはできません。もちろん特定の人を応援している私の目線は全くフェアなものではありませんが、このような疑問を感じているファンが少数でもいることは事実です。乃木坂のメンバーが作り上げてきた歴史を愛するからこそ、ここに書いたような一人一人の疑問が積み重なってファン全体の総意になり乃木坂の人気自体を揺るがすようなことにはなってほしくないのです。日本一のアイドルを統括する運営として、どれだけファンとアイドルの目線になれるかが今後の乃木坂の行く末を大きく左右しそうな気がします。